| 敷地は、由緒ある神社や私設の美術館が点在する、緑の多い閑静な住宅街にあり、行政も町並みの景観整備を積極的に進めている第一種低層住居専用地域に位置する。
定年を目前にされた建築主ご夫妻は、須磨にお住まいだったご自宅が阪神淡路大震災で被災され、修復はなされたものの、慣れ親しんだ町並みがすっかり変わってしまい、終の棲家としてこの場所に新しく住まいを求められたのである。
外観は近隣に出来るだけ圧迫感を与えないようにする配慮と、内部空間を損なわずに軒や最高高さを押えるためにR勾配の屋根とした。柔らかさを感じさせながら夏の日差しを遮る深い軒を実現することができた。又、幾重にも重なった屋根が日本の美しい風景を形づくっているが、そうした外部空間への働きかけを積極的に試みた。
変形している敷地は北側から南側に半時計回りにほぼ1層分の高低差があり、敷地周囲に擁壁を巡らさざるを得ないのだが、これも建築主のご理解を得て石貼りとしたので、町並みの景観形成に寄与することが出来たと思う。
平面は、将来増築することで二世帯住宅となるように計画されている。
1階はLDを中心として北側に和室、東側にキッチン、2階は書斎、寝室、水廻り、地階には車庫と納戸を配している。
LDは16帖の広間であるが、拭き漆の大黒柱で意識的に分節化を図った。北向きの和室は、南向きの緑を目にする事になるので意外と明るく感じられ均一な穏かな光が入り、落着いた空間となった。
LDとキッチンとは壁状の建具を開閉することで色々な状況に応じて使い分けが出来るようになっている。
青霄庵とは、平歩青霄から名付けさせて頂いた。青く澄み切った空を何事もなく歩くこと、すなわち何事にもとらわれない自由闊達な境地を指している。 |